2008年9月20日(土)、「講演会シリーズ:21世紀の価値観」を、作曲家の神津善行先生を講師に迎えて大阪で開催しました。神津先生は、作曲家として活躍される一方、30年以上に亘り、ライフワークとして植物と音楽の関係について研究されています。今回は、植物の声ともいえる電位を解析してきた経験から、共存の大切さを、ユーモアを交えながらお話しくださいました。冒頭、西園寺裕夫理事長の挨拶の後、講演はスタートしました。(大阪市・梅田スカイビル 参加者190名)
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物ごとを多角的に捉えられれば、対立は防げる
今、私たちは、地球が何億年もの時間を経て、人間や動植物が暮らせる環境を作り上げたおかげで、こうして生きていられます。しかし、もしかしたらいずれ地球という星にも寿命が訪れるのかもしれません。そう考えると、この時期に人間として生まれてこられた、こんな幸せはありません。その限られているかもしれない時間の中で、人々が殺し合う、傷つけ合うことは非常に残念ですし、無意味な行為です。
私は、憲兵隊の隣の小学校に通っていたため、軍楽隊に入れられていました。私が音楽家になったのは、このときの経験がきっかけです。
麻布中学時代に終戦を迎え、新しくできた演劇部に入ると、フランキー堺、小沢昭一、加藤武、仲谷昇、なだいなだ、北杜夫、倉本聰、そして吉行淳之介氏などがいたのです。このグループは、それまで日本だけが正義であると教えてくれた教師の考え方が間違っていたのではないかという疑問からよく討論をしました。
何ごとにも互いの言い分があり、正義があります。自分や、自分の国だけが正しくて相手は間違っているという発想から、いろいろな問題は起こり、戦争や争いが始まります。ですから、両方の意見を聞くことが大切です。このグループで受けた影響が、私の人生の根本にあると思っています。
植物が持つ不思議な力を知り、共に生きることを考える
私は音大卒業後、音の研究に興味を持ち始めました。というのも音は、空気がある地球にしか存在しません。神様は、地球だけに音を与えてくれたというわけです。
最初は胎児と音の関係を、7年の歳月をかけて研究しました。当時、ソニーの盛田昭夫さんが超極細のマイクを用意してくれ、胎児が胎内で聞いているのと同じ音を子宮から取り込むことができました。それを新生児室で編集をしていると、赤ちゃんたちが眠っていることに気づきました。止めると泣き始め、音を出すと泣き止む。この音を7秒程聞くと、99%の赤ちゃんは寝ました。記憶していた、胎内で聞いた音に触れられ、安心して眠ったのだと思います。
このように、人間は音をコミュニケーションの最も良い手段として使っています。動物も泣き声などの音でやりとりをしています。私は、地球上の生物は全て音と関係を持っているに違いないと考え、植物と音の研究をしようと思ったのです。
私は早稲田大学理工学部の三輪敬之教授と共同で研究を始め、研究室が製作した根や葉から出るわずか1万分の1ボルト程度の電位を採取できる機材を取り付け、パソコンで解析をしていきました。
ある実験では、機材を付けた植物の間を人間が歩いてみると電位が大きく振れ出したのに対し、動物を歩かせても電位は乱れなかったことがありました。植物は動物を同類と考えているのかもしれません。
また、ある植物にライターの火を近づけると、隣の植物は瞬間的に反応しました。どの範囲まで反応するかを調べると、非常に長距離を瞬間的に伝わることがわかりました。
それから、海水を真水に変えてしまうマングローブは、千分の1ボルトという電位が非常に強い特徴を持っています。これは遊びですが、マングローブから出る電位を12音階に変換し、ピアノの音で表現させてトランペッターの日野皓正さんに聞かせたら「すごいね、この人。紹介して」と言われたほど面白いものになりました。
これを原音に近い複雑な音階にして、私が結成した『六華仙』という古楽器による楽団で、世界中で演奏してきました。植物も人間も同じ地球上で生きているのだから、もっと環境について考えようということを伝えたかったからです。
私の研究生活は、30年以上になりますが、結論といえるものはまだありません。ただ、非常に植物は不思議な能力を持って生きていることは明らかです。人間は、植物を食べて生きています。地球に生を受けながら地球を壊すような行為は慎まなければなりません。共存について一人一人が考え、生き方に表して行くことが非常に大事だと思っています。
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