アプローチ

新しい文明を築く

私たちは現在、急速で激しい変化の時代を生きています。世界各地で繰り広げられる紛争、テロの激化、甚大な環境破壊、人口問題など、様々な地球規模の課題が複雑化し、人類の文明そのものが存亡の危機にあるといっても過言ではありません。

五井平和財団では、一人一人が意識や行動を変革し、様々な分野が協力し合って、平和で持続可能な未来を切り拓くべく、2005年に世界のパートナーと共に「新しい文明を築く」というイニシアティブを立ち上げました。

すでに世界各地、各分野で起こっている変化の兆しに光をあて、互いに結び付き、調和と共生の精神に基づく生き方を選ぶ地球市民を増やしていくことで、社会の変容を促進しようという運動を展開しています。

the-4s-concept

新しい文明を築くためのアプローチとして、
以下の「4つのS」を基軸にしています。

Sustainabilityサステイナビリティ(持続可能性)

地球温暖化や資源の枯渇などに象徴される環境問題、異文化衝突といった社会的問題、貧富の格差をはじめとする経済的な問題など、私たち人間の営みは自らの存続を危ういものにしています。崩壊への道を突き進むのか、それとも地球やあらゆる生命が持続可能な未来への道を選ぶのか、人類が重大な分岐点に立つ今、一人一人に責任ある選択が迫られています。

Systemsシステム

私たち人間は大きな地球生命体システムの一部です。その人間が築いた経済・政治の制度や社会のあらゆるシステムを、生態系など自然のシステムと調和させる必要があります。現行のシステムは疲弊しており、これからはホリスティックな視点に立った新しい地球規模の制度・システムへの転換が求められます。

Scienceサイエンス(科学)

量子物理学、宇宙科学、生命科学、意識の科学などの最先端の領域では、これまでの常識を打ち破る新しい世界観や生命観が生まれつつあります。科学がもたらすパラダイムシフトが、新しい文明を築く大きなカギとなるはずです。

Spiritualityスピリチュアリティ(精神性)

一人一人の意識の目覚めと創造力の発現こそ、未来を築く原動力です。これからの地球社会における人間のあらゆる営みは、精神的価値に根ざしたものでなければなりません。人間が内面的により高いレベルへ進化し、あらゆる生命との一体感を体得したとき、人類の生き方は大きく変わるでしょう。

パートナー団体

このイニシアティブは、国内外の14の団体が中心となり、2005年11月に開催された国際フォーラム「新しい文明を築く」において発足しました。当日は、ゴルバチョフ旧ソ連大統領をはじめとする東西のオピニオンリーダーと4000人を超える地球市民が集い、様々な分野の視点と英知から新しい文明を展望しました。

フォーラムより抜粋

ミハイル・ゴルバチョフ 旧ソ連大統領

金融、資源、貿易など全てがグローバル化した相互依存の世界にあっては、有効な地球規模のシステムが必要です。しかし、新しい世界秩序を築くにも、ビジョンと政治的意思がなければ、何も変わりません。そして、市民社会の建設的な圧力がなければ、政治的意思は変わりません。

ヨルダン王国エル・ハッサン・ビン・タラール殿下

人智の頂上ともいえる科学の進歩を遂げた現在、すべてを忘却の彼方に吸い込んでしまう、ブラックホールともいえる精神的空虚があることには驚かされますが、自我を無にして自由と平等と正義を求めるならば、私たち人間の精神は、グローバルな精神として蘇るでしょう。

ヘイゼル・ヘンダーソン 未来学者、経済学者

GNPが成長し続ける必要はありません。それよりも健康、教育、人権、環境などあらゆる側面において、生活の質が向上することが大事なのです。

エリザベット・サトゥリス 進化論生物学者

新しい科学的見地によれば、敵対的で競合的な古細胞が平和的な協力関係へと移行し、より大きな新しい細胞を形成していったのと同じ進化の過程を通して、いま私たち人類は競争的国家から地球家族へと移り変わろうとしているのです。

ジェームズ・オーディー ノエティック・サイエンス研究所 理事長

これまで様々な分野で科学的研究が行われ、人間の能力は、私たちが思っているよりもはるかに大きいということがわかっています。自分たちが広大な宇宙につながる存在であり、無限の創造力を持つ存在であることを常に直観しながら、なぜそれを私たちは認めようとしないのでしょう。

アーヴィン・ラズロ システム哲学者

私たちの未来の発展は、複雑系の非線形力学に基づくでしょう。つまり、現在経験している危機は、これまで試された方法の積み重ねでは克服できないということです。抜本的で急進的な変革が求められるのです。