ホセ・アントニオ・アブレウ
エル・システマ創設者(ベネズエラ)
授賞理由
ホセ・アントニオ・アブレウ博士は、1975年子どもたちに無償で楽器と音楽指導を提供するオーケストラ教室を始めました。「エル・システマ」と呼ばれるこの音楽教育プログラムは、高い演奏技術だけでなく、集団での音楽体験を通じて、優れた社会性(忍耐力・協調性・自己表現力)を養うことから、90年代以降、青少年を貧困と犯罪から救い、健全な市民として育成する社会政策の一環として推進されるようになりました。現在、エル・システマに参加するベネズエラの青少年は40万人、380のユースオーケストラを傘下に持ち、障害者向けプログラム、受刑者の更生プログラムなども実施されています。その成果から「世界で最も進んだ音楽教育システム」と評され、50カ国以上の国や地域で展開。日本のエル・システマ・ジャパンでは、福島県相馬市の子どもたちを支援しています。エル・システマ設立以来、この卓越した教育システムを高いビジョンに基づくリーダーシップで牽引し、数多くの子どもたちの人生を変えることで社会を変え、平和の文化の創造に貢献してきたアブレウ博士の長年の功績を称えるも
プロフィール
1939年ベネズエラ生まれ。指揮者、ピアニスト、経済学者、教育者、活動家、政治家、元ベネズエラ文化大臣。61年にペンシルバニア大学より石油経済学の博士号を取得、同時にベネズエラ国立音楽院で作曲とオルガンを学び、64年同音学院卒業。その後、指揮者として活躍するほか、大学の経済学教授、ベネズエラの国会議員も務めた。75年「エル・システマ」を創設。貧困層の多い一般家庭の子どもたちに無償で楽器と音楽指導を提供し、全国各地にユースオーケストラを組織。この音楽教育活動が、青少年を貧困と犯罪から救い、ベネズエラ社会の発展に大きく寄与しているとして、ベネズエラ政府も活動を支援している。98年ユネスコ親善大使、2006年高松宮殿下記念世界文化賞、07年旭日大綬章受章ほか、各国政府からの受賞多数。