
2023年12月9日(土)、2023年度国際ユース作文コンテストの上位入賞者(文部科学大臣賞、優秀賞、入選)を対象に「受賞者の集い」をオンラインで開催しました。
「受賞者の集い」は、多様な文化的背景や価値観を持つ受賞者が一堂に会し、より良い世界に向けて、ポジティブなビジョンや意見を共有しながら、学び合い、相互理解を深め、友情を育むことを目的に企画しています。
受賞者のうち9人が、日本、ナイジェリア、ベラルーシ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブラジルの5カ国より参加し、対話を通じて交流を深めました。
受賞者たちが考える平和な世界のビジョン
作文のテーマ「若者がつくる平和な未来」にちなみ、それぞれが描く平和な世界のビジョンを共有しました。
- 暴力、恐怖、危険、戦争や紛争のない世界
- 全ての人が自分のやりたいことができ、相手のやりたいことを支えられるような世界
- ユース世代が夢の力を持ち、実現できる未来
- 全ての人がお互いに学び合い、幸せを感じられる世界
- 誰もが歓迎され、安心できる世界
- 家庭や地域、国、世界全体、あらゆる分野で平和が鳴り響く世界
- 隣人と自分自身を愛し、尊重できる世界
- 人種や考え方、信条、物質的な豊かさに関係なく、愛し合い、お互いのことを思いやれる世界
- 皆が相手の立場を考えて、自分の意見を相手に届くような言葉で伝え合える社会
二つのテーマで対話を実施。交流を深める
参加者たちはグループに分かれ、二つのテーマで活発に対話を行いました。
<テーマ1>
ほかの受賞者の作文を読んで、心に残ったこと、感動したことは?
学校の授業で、ガーナの児童労働について学び、「平和のためには世界の現状を知ることが大切」と書いた染谷春花さんの作文「平和な世の中にするために」には、「相手の文化的背景を理解しようとする寛容さや同じ人類の一員という意識を持って、お互いに助け合うことが大切」、「異なる文化や人々の価値観を学ぶことは、お互いの理解を深め、調和して共存する上でとても重要」など共感する声が集まっていました。
また、仲間と一緒に、抗争を続ける二つのコミュニティの間に立ち、歌などの地域固有の「手段」を使って和解へ導いた体験を綴ったフェイソラ・ボラリンワさん(ナイジェリア)の作文「平和な世界がここに」には、「困難な状況の中で、平和のために立ち上がったことに感動した。私も歌には平和に導く力があると思う」など、彼女の勇気をたたえる感想などが伝えられました。
<テーマ2>
あなたの国がさらに平和になるために解決したら良いことは?
それに対してあなたは何がしたいですか?
人権侵害を課題に挙げたのは、ウクライナ情勢の影響で、家族とポーランドで暮らすヤン・コロレフさん(ベラルーシ)。 「人々が人権の大切さを知れば、政府に強く働きかけられるだろうが、表現の自由が制限されているので、どうしたらいいかは分からない」と、率直な心境を述べつつも「受賞者たちの作文に書かれた様々な考え方を家族や周りの人々に伝えたり、校内で平和について話し合ったりしていけば、きっと多くの人たちに良い影響をもたらせるはずだ」と、希望を語りました。
また、1993年のユーゴスラビア紛争以後、生活苦による市民の国外流出、年長者たちの旧態依然とした価値観や国に蔓延する悲観主義を指摘したアイシャ・ムヒッチさん(ボスニア・ヘルツェゴビナ)は、「大学卒業後に海外の大学院で学び、愛する祖国の平和のために働きたい」と、今後の目標を語りました。
対話後に寄せられた喜びの声
世界各地の同世代の若者との交流を喜ぶ声が多数聞かれました。
- 他国の人たちと交流することは、なかなか自分にはない経験だったので、本当に貴重な時間でした。
- 様々なストーリーや、他の人たちの視点、共通点、相違点を知れたことは刺激になり、考えさせられました。
- それぞれの国での経験をグループで共有し、様々な視点から話し合うことができてよかったです。
- それぞれのストーリーに感動しました。皆が平和な未来を達成できることを願っています。
参加者たちへ送られたエール
最後に、川村真妃常務理事から参加者へエールが送られました。
「今日は皆さんが平和についてどんな視点を持っているか、率直な声を聞き、多くのことを学べる、私にとっても特別な経験でした。これからも、このようなイベントに参加して、お互いの意見や経験を分かち合い、深い学びと世界への理解につなげてください。世界中に友人を持つことは、平和構築への大きな一歩です。皆さんの存在は、平和な世界をつくる上で非常に重要なのです」
後日、参加者たちから「今後も世界の若者たちと、平和やお互いを愛することの大切さなどについて語り合いたい」などの声が多く寄せられました。
なお、今回の開催にあたり、過去受賞者のルシアーナ・グロスさん(2006年度/ルーマニア)とイリヤ・ニキティチェフさん(2019年度/ロシア)がファシリテーターとして運営をサポートし、受賞者たちを祝福しました。
引き続き、世界の若者がお互いの多様な価値観や生き方から学び、つながるコミュニティづくりを推進してまいります。
参加者の皆さん
※敬称略
- <子どもの部>
文部科学大臣賞/チママンダ・ケイトリン・ウゾエチ(ナイジェリア)
優秀賞/マリーナ・ラウラ・ソアレス・アセベド(ブラジル)
入選/染谷春花(茨城県)、寒河井創将(東京都) - <若者の部>
文部科学大臣賞/島﨑みちほ(東京都)
優秀賞/フェイソラ・ボラリンワ(ナイジェリア)、ヤン・コロレフ(ベラルーシ<ポーランド在住>)
入選/ミラ(ベラルーシ)、アイシャ・ムヒッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)