
―いのち輝く未来社会のデザイン― EXPO 2025 大阪・関西万博のテーマに呼応し、8月18日(月)から22日(金)の5日間は、会場内のフェスティバル・ステーションにおいて、さらに10月1日(水)はEXPOアリーナ「Matsuri」にて、五井平和財団が思い描く“いのち輝く未来社会”を体感できる複数のイベントを、志を同じくする団体と共催しました。
主催者のアース・アイデンティティー・プロジェクツの河原裕子氏
これらのイベントは、世界各地で子どもたちに平和の大きな絵を描いてもらう活動を推進するNPO法人アース・アイデンティティー・プロジェクツ代表の河原裕子氏の呼びかけにより実現。絵本を通した教育や文化交流の舞踊、能登の復興支援など、多様な催しと共に万博を彩りました。
Peace Convergence
8月18日(月)、第4回Peace Convergence @大阪・関西万博を他団体との共催で開催し、多様なスピーカーが、平和について「暮らし、生命、未来、歌」の四つの観点で語りました。

司会を務めた川村真妃副理事長は、世代や分野を超えた人々が平和を中心に据えて語り合い、協力し合うことを目的にPeace Convergenceを発足したと述べ、続く西園寺裕夫理事長のビデオメッセージでは、人々の英知とエネルギーを結集して、平和への潮流を築くという財団の理念と、今回のテーマが含まれる「生命憲章」の四つの原則が紹介されました。
8月18日のビデオ動画を観る
平和×暮らし(ウェルビーイング)
「平和×暮らし(ウェルビーイング)」のテーマでは、博報堂生活者発想技術研究所上席研究員の伊藤幹氏が登壇。
生活者の集合体が企業や社会を構成し、それらの思いが新しい未来を創造していくと考察を語り、他国の多くが長寿を願う一方、平均寿命が世界最長の日本では、長寿を願う人が20~70代で約26%にとどまるデータを示し、幸福のあり方を問いかけました。
ウェルビーイング(より良い状態)とは一時的な幸せではなく、人生全体を通しての幸福であり、日常や社会の中で自他の幸福を意識することで、一つ一つの幸福が巡って増幅し、私たちの暮らしや社会全体、世界全体がより豊かで幸福なものになっていくと締めくくりました。
次の登壇者は、旅を通して一人一人が本当の自分に出会うMY LIV(デンマーク語で人生、存在の意) PROJECTをJTBで推進する横田裕美氏。横田氏は、ウェルビーイングを自分らしくいられる状態と定義し、自己肯定感が低く、日本の未来に希望を持てない若者たちを対象に実施している三つのプロジェクトを紹介。
一つ目は地域の中心的な存在となっている「観光人」との交流を通じ、地域に根付く精神性や文化、価値観に触れながら、自分と向き合う「観光人クエスト」。二つ目は、日本各地で平和活動を行う若者「ピースバディ」との対話を通じて、自分にとっての平和とは何かを考える「ピースダイアログ」。
さらに、旅での出会いを生かし、個人と企業のパーパス(存在意義)を調和させる人材育成研修プログラムを紹介。プロジェクトに関わる全ての人が学び合い、成長し、それぞれのウェルビーイングを他者や地域社会に循環させることで、平和で心豊かな社会の実現につながると語りました。
続いて、NTTの上席特別研究員の渡邊淳司氏は、通信技術を使って自分の心臓の鼓動を相手に伝えるデモンストレーションを披露し、相手とのつながりを体感する視点からウェルビーイングについて語りました。また、教育分野にも関わっていることから、周囲との協力や互いの大切なことを尊重し合う生き方、自分が大事に思う「自分事」を「地球事」にまで視座を高めることの大切さなどが語られました。
平和×未来
このテーマでは、若者たちが未来への希望を語りました。
広島なぎさ高等学校2年生の河村波音さんは、留学生向けの平和ツアーガイドや歴史だけでなく未来志向で学びを深め合う取り組みをはじめ、国際機関でのユース提言、世界一大きな絵EXPO2025の広島県代表など、多方面で平和に関わる活動を紹介。
さらに、慰霊碑から原爆ドームへと伸びる平和の軸線の延長線上にある市民球場跡地に「地球市民ミュージアム」を建設する夢と、企業・行政・若者が連携して若者の夢を育て、実現できる社会基盤を築きたいという構想を力強く語ってくれました。

続いて川村美妃さんと琉美さんが登壇。美妃さんは、高校時代にイスラエルとパレスチナ出身の同級生の対立に胸を痛めた経験や、9月21日の国際平和デーに全校生徒と、「平和」の文字を90カ国の言葉でピースポールに刻み、世界の平和を祈り、国籍、宗教、歴史など全ての違いを超えたつながりを実感した体験を語りました。
さらに万博開催を機にYouth Peace Ambassadorsプロジェクトを主導し、2週間で世界70カ国、1200人以上の若者から集めたメッセージ動画の一部を紹介。今後はオンラインの平和教育プロジェクトへと発展させていく構想も発表しました。
平和×歌
締めくくりは利波直子氏が、会社員から勇気を出して歌手へ転身した心境を歌う「変わりたいわ」を、元小学校教師の白田直也氏が子どもたちにも伝わる「愛の歌」を披露し、会場を盛り上げました。
| 主催 | NPO法人アース・アイデンティティー・プロジェクツ |
|---|---|
| 共催 | 公益財団法人 五井平和財団、株式会社PLAY SPACE、NPO法人Peace Culture Village、株式会社JTB、一般社団法人次世代教育ネットワーキング機構 |
World Peace Flag Ceremony

World Peace Flag Ceremonyは、8月22日(金)のフェスティバル・ステーションと10月1日(水)のEXPOアリーナ「Matsuri」で2回行われました。
8月22日は、言語を超えてハミングでつながる活動をしているHumming for Peaceのかくばりゆきえ氏の美しい歌声と声松優一氏のピアノの即興演奏に乗せ、世界各国の国旗カードを用いたセレモニーを行い、日本舞踊家の大木葉氏は、富士山の神である木花開耶姫が、蝶になって地球を愛でながら平和をもたらす創作舞踊を披露してくれました。
10月1日は、アリーナ会場に敷き詰められた大きな絵の披露と共に、ステージ上で世界各国の平和を祈るフラッグセレモニーを開催。日本各地から結集したお神輿や山車も世界平和祈念祭として会場を盛り上げ、勇ましい神輿の担ぎ手の方たちも各国旗の旗手を務めてくれました。
フラッグセレモニーを美声とピアノ演奏で彩ってくれた海賀千代氏は、フィナーレで「宇宙から見た地球」を披露し、国旗がステージ上に結集すると会場は深い感動に包まれました。
Peace Pole Craft
海外からの来場者など多数の参加者が、特製ピースポールに貼るプレートや模造紙に、それぞれの言語で「平和」の文字を書きました。
高さ2m40cmの特製ピースポールと世界中の若者から寄せられた平和のメッセージ動画。そしてスタンプラリーのSNS投稿をきっかけに行列ができた特製スタンプ。
メッセージ動画を観る