【開催報告】第8回ユネスコ・ユースフォーラム共催のご報告

2013年10月29日から31日までの3日間、パリのユネスコ本部において、「第8回ユネスコ・ユースフォーラム」が開催されました。ユネスコ・ユースフォーラムとは、隔年に開催されるユネスコ総会に先駆け、世界中から集まった若者が様々なグローバルな課題に関して活発に意見交換をし、解決策を探る機会です。若者たちの意見や提案は、提言書としてユネスコ総会に提出され、協議事項に組み込まれます。

今回は、「若者と社会参加:市民参加、対話、技能開発(Youth and Social Inclusion: Civic Engagement, Dialogue and Skills Development)」というテーマで、150カ国以上から500人を超える若者が参加し、意見交換、体験や社会問題に関する認識の共有を行うほか、具体的な活動のアイデアについて話し合いました。当財団は、一昨年に続き、ユネスコの主要パートナーとしてフォーラムに協力し、10月30日の夜の部のプログラムとして「若者の社会参加へ向けた鼓動(Drumming for Youth Civic Engagement)」と題したカルチャー・イベントを主催しました。

このイベントは、革新的なアイデアを実行に移し、それぞれのコミュニティで積極的に社会貢献するよう若者を鼓舞する目的で企画しました。プログラムは、地元パリで活動する「つながり太鼓センター」の和太鼓奏者3名の勇壮な演奏からスタート。続いて、当財団のヨーロッパオフィスのパトリック・プティが挨拶した後、ユネスコを代表してピラール・アルバレス・ラソ事務局長補が参加者へ向けて歓迎の意と、本大会に対する当財団の協力、長年の実り豊かな協力関係に対して感謝を述べました。

若き社会起業家たちのプレゼンテーション

次のプログラムでは、当財団が招いた若者の社会起業家3名によるプレゼンテーションが行われました。彼らは実践している革新的なプロジェクトの説明、そのプロジェクト誕生に至るまでのパーソナルなストーリー、そして体験がいかに自らの良き導き手になり得るかなど、客席で耳を傾ける若者もまた社会変革の担い手となれるようインスピレーションを与えるメッセージを熱く語りかけました。

プレゼンテーションは、スウェーデンで活躍するソフィア・アッペルグレンさん(31歳)から始まりました。弱冠16歳で起業した経験を持つ女性です。彼女は、大学在学中に出産と子育てという、女性としての大きな体験を経た後、起業の経験とスキルを生かし、移民の若い女性のために、「ミット・リブ」という団体を立ち上げました。この団体は、スウェーデンに暮らす移民女性が抱える雇用問題や社会的コミュニケーションの問題の解決を目的に、文化的な多様性が受け入れられ、様々なルーツを持つ労働者が働きやすい環境をつくるために力を尽くしています。彼女は、すべての人が自分の夢に向かうことで社会にインパクトを与え、未来を変えるチャンスを持っていること、そして自分の理想を追求し、自分が持つ価値観に正直であり続けることの大切さを訴えました。

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五井平和財団が主催する「社会起業家育成コンペティション」を発表

続いて、ドイツで社会起業を支援しているアントレプレナーシップ財団創始者であり、フライ大学で起業家精神を教えるギュンター・ファルティン教授が「ユース・シチズン・アントレプレナーシップ・コンペティション(Youth Citizen Entrepreneurship Competition)」のスタートを発表しました。

これは、かねてよりユネスコ、同財団、五井平和財団の三団体が新規共催事業として準備を進めてきた若者の社会起業家を育成するコンペティションです。若者(15歳~30歳)が社会の課題解決のために実際に取り組んでいるプロジェクトやアイデアをウェブサイト上にエントリーし、一般から広く投票を募ります。最も多く票を集めた若者は、毎年ベルリンで開催される国際的な社会起業家サミットにおける授賞式に招待され、そのプロジェクトを発表する機会が与えられます。

このコンペは、単に勝ち負けを競うコンペとは違い、プロジェクトの登録者はオンライン上のキャンパスで起業について学べたり、エントリーの過程で世界中の人々からプロジェクトに対する意見やアドバイスをもらえるようにするなど、真の社会起業家の育成を目指しています。そして、良い事例を広く示すことにより、若者たちの社会起業に対する関心や意識が高まることを期待しています。

会場を一つにしたフラッグ・セレモニー

1時間40分に亘るプログラムのフィナーレは、ワールド・ピース・フラッグ・セレモニーで締めくくられました。

再び和太鼓のダイナミックな演奏をバックに、ボイスリーダーのリードで世界各国の国旗カードを手にした参加者全員が「May Peace Prevail on Earth」と平和のメッセージを大きな声で発信しました。ユネスコ加盟国の名前をすべて呼び上げ、会場全体が一体感に包まれると、司会が参加者にステージに上がるよう促し、会場のボルテージは最高潮に。参加者たちは国旗カードを振りながら、希望とやる気に満ちた表情で、May Peace Prevail on Earthを繰り返していました。

閉会後もステージの中央に掲げられた国連旗を取り囲んで記念撮影を行ったり、交流したり、閉会後も皆、立ち去り難い様子で余韻を楽しんでいました。

この度のユネスコ・ユースフォーラムの開催や新規共催事業の発足をはじめ、ユネスコとのパートナーシップはますます強固なものになっています。こうした協力活動とその成果は高く評価され、ユネスコから公式関係を有する財団としての認可が更新されました。

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