

「国連持続可能な開発のための教育の10 年(DESD、2005-2014 年)」の最終年にあたり、 国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)と日本政府は「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議」を開催しました。2014 年11 月10~12 日に愛知県名古屋市で開催された本行事では、これまでの10 年間の活動を記念するとともに、2015 年以降のESD 推進方策を定めました。また、「国連ESD の10 年」の後継プログラムとして、「ESD に関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)」を発表しました。
世界会議の開催に先立ち、岡山市において行われたステークホルダー会合の一つとして、2014年11月7日にユネスコESD ユース・コンファレンスが、ユネスコ、文部科学省、日本ユネスコ国内委員会、岡山市および公益財団法人 五井平和財団の主催で開催されました。ユース・コンファレンスには、世界180か国5,000人の応募者の中から選ばれた18歳から35歳までのESDを実践する若いリーダー50名が参加しました。また、 日本からESDやユース活動に携わるオブザーバー兼ボランティア約50名が参加しました。
ユース・コンファレンスは以下の目的で開催されました。
- 世界各地でESDを実践する若いリーダー達が集い、対話と学び合いを通して向上できる場を提供すること。
- 若者のESD活動、特に彼らの革新的な手法を共有すること。
- ESDに関するユネスコ世界会議への提言をユース・ステートメントとしてまとめること。
- そして、若者達のESDへの関与を促進し、2015年以降の行動に向けたコミットメントを促すことです。
ユース・コンファレンスの議題は、GAPの全体目標「持続可能な開発を加速するために、教育・学習のすべての段階・分野で行動を起こし強化すること」に沿って設定されました。特にGAP の優先行動分野の一つ「ユースの役割支援と動員」を横断的なテーマとして議論を行いました。
11月6日のプレ・コンファレンスでは、参加者はアイスブレーキングや自分のこれまでの人生を語るストーリーテリングを通して、お互いのことを知り合うことから始めました。そして、ESDに関する具体的なテーマごとのディスカッションに入る前に、それぞれの地域の状況や世界観の違いを認め合いつつ、持続可能な未来のビジョンをグループワークを通して共有しました。


11月7日の会議当日は、イリナ・ボコバ ユネスコ事務局長との記念写真撮影から始まりました。開会挨拶の中で、事務局長は「私たちを待たず、前進してください。若者は世界をリードできるのです。そうすれば世界はあなたたちについて行くことを、私はお約束します」と述べ、若者たちを鼓舞しました。世界会議の国際運営委員会の若手メンバーであるサリー・アスカー氏は、基調講演の中で、ユースであることの強みを強調し、世界会議を絶好の機会と捉え、若者の声を集め、届けるよう参加者を激励しました。
午後の全体会では、地域、国、あるいは世界規模での持続可能な開発に向けて、同世代の若者を変革の担い手としてどのように動員していくかについてさらに議論を深めました。総括では、全員が大きな円になって座り、一人ずつ感想や決意を述べて終わりました。




また、岡山市滞在中、参加者は同市主催のオープニングセレモニーとフェアウェルパーティーに出席するほか、エクスカーションに参加し地域観光や文化体験を楽しみました。
ユース・コンファレンスの成果として、「ユース・ステートメント(宣言)」が採択され、世界会議に提出されました。このステートメントは、2015年以降ESDをどのように推進するかについて、若者たちの提言とコミットメントを取りまとめたもので、会議参加者のみならず、ユネスコのプラットフォーム上で展開された事前のオンライン・ディスカッションに参加した、世界中の若者の声を反映しています。
若者はGAPが網羅するすべての分野において、計画と実施に関わるべきである。そして、若者こそが誰よりも同世代の若者を巻き込み、変化を生みだす可能性をもっている。その機会と必要な支援が得られれば、持続可能な世界に向けてリーダーシップを発揮する用意があるというのが、このユース・ステートメントの核心となるメッセージです。
ユース・コンファレンスの後、参加者は愛知県名古屋市で開催された世界会議に出席し、積極的に意見や考えを各国の政策決定者やESDの専門家と共有しました。ワークショップの討議や自ら企画し、開催したイベントを通して、ユースを重要なステークホルダーとして認識してほしいこと、そして世代間の協力を望んでいることを強く訴えました。
両会議の期間中に、参加者たちから数々のプロジェクトやキャンペーンのアイデアが生まれました。今回話し合ったことを実行に移し、ユースの提言を広く発信することによって、世界各地でより多くの人々の協力と行動を促していくことを約束し合いました。そして、最大の成果として、若いESDリーダーたちは、今後も国境を越えて様々なコラボレーションに発展するであろう、強い絆を築きました。

