2016年度ユース・シチズン・アントレプレナーシップ・コンペティション 入賞者決定

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世界の様々な課題を革新的なアイデアや取り組みで解決しようとする15歳から35歳の若いアントレプレナー(社会起業家)を発掘・育成するプロジェクト「ユース・シチズン・アントレプレナーシップ・コンペティション」の2016年度の入賞者が決まりました。

より良い社会をつくるためのアイデアを募る「ベストアイデア」部門には1232件、社会により良い効果をもたらしている既存のプロジェクトが対象の「ベストプロジェクト」部門には645件の応募があり、選考委員会により両部門の上位3賞と、ウェブサイトでの一般投票で最も支持を得た「ピープルズ・チョイス賞」が決定。 昨年、10月8日にドイツ・ベルリン自由大学で開催された「アントレプレナーシップ・サミット」において発表されました。

また、コンペと共に本プロジェクトの特色である、ウェブサイト上で、社会起業に関するトレーニングが受けられたり、仲間と意見交換などの交流が自由にできる「アントレプレナーシップ・キャンパス」には2000人が登録、800人以上が受講しました。本記事では、最優秀賞とピープルズ・チョイス賞を受賞したアイデアとプロジェクトを紹介します。

本プロジェクトのウェブサイト(英語)では、受賞した全てのアイデアとプロジェクトをご覧いただけます。

ベストアイデア部門

最優秀賞
ソーラー・ランプュリファイアー / The Solar Lampurifier

受賞者:アブデル・バーリー、アービン・タン、アフメッド・アティーク(3人とも19歳/男性/シンガポール)

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世界のどんな場所でも安全な飲料水を得られるように発想された「ソーラー・ランピュリファイアー」は、太陽光によって雨水を浄水し、かつ夜間灯にも、電源にもなる街灯型の機械。雨水が集まると、フィルターがろ過し、飲料水として貯蔵される。浄水フィルターは、交換が簡単な上に、紫外線による消毒機能付きにすることで、持続的な利用が可能になるというのが大きな特徴。また、日中の太陽エネルギーを蓄えることができ、電源としても活用できる。

 

ピープルズ・チョイス賞
ヴァイズ・アップ:歩行者用のサンバイザー型機器および視覚障害者用のベルト機器 / VISE-UP: visor cap for sighted pedestrians with an add-on belt for blind pedestrains

受賞者:ラクシャ・パワン・シャム(17歳/男性/インド)

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「ヴァイズ・アップ」は、健常者、ヘッドホン装着者、視覚障害者の歩行中の衝突を防ぎ、生命を危険から守る製品。サンバイザーの形状で、超小型コンピューターにつながっているカメラが3台搭載されている。このカメラが360度撮影し、危険を感知すると、スマートフォンから大きな警告音を発し、ヘッドホンをしている人は音が停止される。また、ベルトはワイヤレスで信号を受け取り、危険物の方向を信号で知らせる仕組みになっている。いずれの装置も危険を回避できるだけの時間のゆとりを持てるよう計算されている。

 

ベストプロジェクト部門

最優秀賞
尊厳プロジェクト / Project Dignity

受賞者:ナターシャ・アニー・トントラ(29歳/女性/マラウィ)

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「尊厳プロジェクト」は、マラウィの女子学生が、生理中でも登校できるよう衛生用品を生産し、無償供給する、トントラさんが創設したママ・アフリカ信託財団のイニシアティブ。衛生用品は、自然に還元できる素材を使い、再利用可能にするなど、経済事情や自然環境にも配慮されている。生理をきっかけとした不登校や中退の防止に効果を上げており、結果的に望まない性交渉や性感染症への罹患、低年齢での結婚、中絶などから女性を守ることにも貢献している。

 

ピープルズ・チョイス賞
ジョイデリー・ソーラー・バックパック / Joydely Solar Back Packs

受賞者:デオダタス・グッドラック(23歳/男性/タンザニア)

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「ジョイデリー・ソーラー・バックパック」は、太陽充電池が搭載されたリュックサックで、照明器具付きのタイプ、携帯電話やパソコン、カメラなどの電源になるタイプがある。電気のない地域で使用されている灯油のランプにより呼吸障害を起こしてしまう人や、経済的に灯油を購入できない人々に役立っている。照明器具付きのタイプは、夜の読書や子どもが学習に利用できるよう6~8時間ほど点灯する。現在は、ソーラージャケットやソーラーテントの開発にも取り組んでいる。

 


共催:五井平和財団、アントレプレナーシップ財団、デジタル・エキスパーツ・ユナイテッド