平和科学調査研究会 2017・2018年度の活動報告

平和科学調査研究会では、持続可能で調和した未来への指針となる新しい世界観・生命観を広めるため、最先端科学の分野を含む学際的調査研究を行っています。2017年より第3フェーズに入り、分科会ごとの調査研究に加え、各フェローの専門分野に関する調査研究にも範囲を広げ活動しています。

このような活動の報告と意見交換の場として、全体会を年に2回程度開催しています。毎回約30名のフェローが全国から集い、互いの調査研究内容を学び合いながら、活発な知的交流が行われています。

2017・2018年度の主な研究発表

つながり・ワンネス

観念を超えた生命の本質としての「つながり」や「ワンネス」の意味を、環境、科学、政治・経済、インターネット・人工知能などの9つの分野における理論や事例の調査研究から学び報告。つながりの中にある個の「役割」と、つながりから生まれる集団の「性質」を調査すると、人を幸福にする「本物のつながり」と「偽物のつながり」に分類することができる。より良い社会を創造するために有用なつながりのあり方について考察した。

ガロア理論

代数方程式や体の構造をガロア群と呼ばれる群を用いて記述する「ガロア理論」は、専門家でも難解な高度な数学理論である。しかしガロア理論から発展した群論や体論等は21世紀のあらゆる分野に絶大な影響を与えており、科学技術のより一層の発展に寄与するものと考えられる。本研究では、純数学ではできないような大胆な発想で、イメージ中心の大衆数学流のカロア理論解釈に挑戦した。

バーコードなど身近な技術に応用されているホログラフィ技術の仕組み、レーザーの原理、光と色のメカニズムなどの研究を通して、根源の科学的「真理」へとアプローチを深めた。

オープンダイアログ

1980年代半ばから90年代前半にフィンランドで開発されたオープンダイアログは、近年、統合失調症などへの治療法としても世界で注目されている。個人・地域・世界レベルで現代社会が直面する様々な問題解決に向けて、オープンダイアログの「共に歩む対話」のもつ可能性について考察した。

放射線に関する基礎知識

東日本大震災を機に放射線に対する意識が全国的に高まったが、放射能・放射線・放射性物質に対する偏見が大きく、正しく理解できている割合は少ない。自然界に存在する自然放射線を含め、それぞれの関係性や人体に与える影響について正しい基礎知識を共有するとともに、原発事故の理解を深めた。

認知と共生

異文化共生を促進する新たな可能性として、自他の関係を自己内に視ることにより、自己のうえで調和している認知「自己調和」という新たな概念を提案した。