
毎年、全国各地で、地域の実践者たちと連携し、開催してきた「ローカルSDGs(地域循環共生圏)キャンパス・ミーティング」をベースとした、SDGsキャンパス・ミーティング「想いを持って社会を変える」を、2024年8月18日(日)に都内で開催しました。
高校生、大学生ら総勢48人が集結し、熱い想いとクリエイティブな発想で、持続可能な社会づくりに取り組む2人のソーシャルイノベーター、SDGsナビゲーターによる講演やワークショップ、同世代の他の参加者たちとの対話を通して、SDGsについて学び、一人一人に何ができるかを考えました。
ソーシャルイノベーターによる講演
花を通してサステナブルで平和な社会をつくる
萩生田 愛 AFRIKA ROSE 創業者、スローフラワー協会代表理事
米国の大学に留学中、世界の貧困問題に関心を持った萩生田氏。日本で就職するも「貧困の問題に取り組まなかったら、必ず後悔する」と退職し、アフリカ・ケニアへ。
学校づくりのボランティアに従事する中で、依存を招く援助ではなく、雇用の創出に貢献することで、貧困家庭の子どもたちに教育の機会を与えたいと、ケニアの新鮮なバラをフェアトレード(公正な取引)で直輸入し、販売するビジネスを日本で起業。また、ケニアの植林活動に寄付できるカーボン・オフセット料金も導入。社員が才能を発揮できる自律分散型組織へ移行させ、代表を退任。現在、生物多様性に悪影響を及ぼす農薬を使用しないオーガニックの花畑づくり、耕作放棄地の再生活動に取り組んでいます。
参加者に「自分の外側に花をつくることも大事だが、自分の心の中に花がある、豊かさで満たされた状態にすること、自分自身や仲間、自然とのつながりを大切にすることが重要」などと語りかけました。
チョコレートで凸凹ある誰もが活躍し、稼げる社会を目指す
夏目 浩次 久遠チョコレート代表
障害者の雇用促進と所得向上のために、街のパン屋から始めた夏目氏は、その後起ち上げたチョコレート事業を、10年で全国に約40店舗を持つ、約60拠点、約700人の障害者や多様な人々が働くブランドに成長させました。根底にあるのは「誰にでも凸凹はある。ありのままを認め合えるシンプルな社会をつくりたい」という想い。

萩生田愛氏(左)と夏目浩次氏(右)のクロストークも行われた。
採用面接では経験ではなく、「うちの会社で働きたい」という気持ちを大切にし、従業員は90%以上が未経験者。チョコレートの魅力は、「失敗したら溶かせばいいし、何でも美味しくしてくれる、主役にも名脇役にもなるところ」。低賃金など障害者雇用における様々な問題に対しては、「課題を乗り越えていけば個人も会社も成長できる」という信念で、向き合い続けてきました。
会場からの「障害の度合が違う従業員の方々と、どうコミュニケーションを取っているか」との問いには、「一人一人と向き合い、周りのみんなと一緒に、それぞれに合った答えを出すことが大事」と述べました。
SDGsナビゲーターによるワークショップ
私たちの生活とSDGsの関係を考える
河野 晋也 大分大学教育学研究科准教授
河野氏は、今の日本人と同じ生活レベルで世界中の人々が生活しようとすると、2.8個分の地球が必要であり、途上国や将来の世代が使うべき資源を奪っている現状がある点を指摘。持続可能な社会づくりのための課題を見つける「目」を持つことの大切さを伝えました。
グループワークでは、スーパーでの買い物を題材に、産地や季節外れの野菜、商品の価格などに注目しながら、買い物客が自発的に地球に優しい選択をしたくなるような仕掛けについて考え、アイデアを出し合いました。最後に、参加者に「自分の当たり前を疑うのが大切」と語りかけました。
参加者の感想
- 萩生田さんの行動力に、「私にもできないことはない」と思えるようになった。
- 夏目さんのお話を聞き、一人一人がきちんと向き合い、互いを認め合うことの大切さに改めて気づくことができた。
- 河野さんのワークショップで、SDGsに関する課題は身近なところに潜んでいると改めて知れた。大きな対策を練るのではなく、まずは自分の周りに目を向けていきたい。
【後援】文部科学省、日本ユネスコ国内委員会、東京都教育委員会、公益財団法人 ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)、公益社団法人 日本ユネスコ協会連盟、特定非営利活動法人 持続可能な開発のための教育推進会議(ESD-J)、ESD活動支援センター、関東地方ESD活動支援センター