
2025年度五井平和財団フォーラムの翌日、2025年11月30日(日)に日経カンファレンスルームで行われた第5回Peace Convergenceは、フォーラムで語られた英知をさらに深め、平和のムーブメントを広げることを目的に、国内外で平和活動や社会変革をけん引する活動家や思想家、教育関係者ら36名が集い、五井平和賞受賞者のジェレミー・ギリー氏と共に、平和活動への向き合い方やあり方などを対話を通じて深めていきました。
はじめに
西園寺裕夫理事長は冒頭の挨拶で、「生命憲章」をもとに改めて平和を定義した上で、フォーラムでも語った、平和活動を推進する人たちとの「協働」の重要性を語り、本イベントで築かれるつながりが世界を平和に向ける原動力となることを期待していると述べました。
プログラムは、川村真妃副理事長とフォーラムの登壇者でPeace Culture Village専務理事の住岡健太氏が進行。まず、参加者はそれぞれに、次の問いをもとに自分が大切に思う価値を導き出し、それと平和を結びつけた「平和×○○(価値)」を今日一日のテーマとして、自己紹介と共に発表しました。
Q2.誰かの苦しみが〝自分のことだ〟と感じた瞬間はありましたか
Q3.前述の答えから、あなたが大切に感じる価値は何ですか
続いて、ジェレミー・ギリー氏が大きな拍手で迎えられ、参加者数名がフォーラムでの示唆に富んだ発言に対して感謝などを伝えました。そして、ジェレミー氏は、参加者から寄せられた質問の数々に、真摯かつ情熱的に答えてくれました。
ジェレミー氏との交流
ストーリーテリングの力について
ジェレミー氏は、世界の状況、仕組みへの怒りから1999年にドキュメンタリー映画の撮影を始めたこと、書籍『ガンジー自叙伝:真理の実験』のタイトルに触発され、9月の第3火曜日と変則的で知名度の低かった国連「国際平和デー」に取り組もうと思ったこと、紛争地域に生きる子どもたちの撮影をしていた時、平和が、命を捧げ実現しなければならない使命と実感したことなど、彼自身のストーリーを語り始めると、参加者はその歩みに引き込まれていきました。

さらに、奴隷制度や女性参政権を例に、問題の当事者の働きも大事だが、周囲の人々が結束し、声を上げていくことで変化が起こること、新しいストーリーを発信していく意義などを語り、建設的な変化を起こすには「Information(情報)」「Inspiration(気づき)」「Engagement(主体的な関与)」「Impact(効果)」「Measure(効果の測定)」が重要であると教えてくれました。
他者に「No」と言われた時の対処法
このような局面こそ、自分のエネルギーに点火するチャンスと捉え、自分を磨き直し、伝え方やアプローチを見直せばいい。結果は起こるべきして起こるものであり、重要なのは結果ではなく、アイデアに従い行動していくプロセス。また、自分の挑戦や失敗が、他者への気づきや次の行動につながる場合もある。一人一人の行動は波紋となり、バタフライ効果(小さな行動がやがて大きな変化を生みだすこと)として表われると述べました。
紛争地で学んだこと
特に中東のガザ、イスラエルなどの紛争地では、戦争で利益を得る支配層によって動かされているため、実は双方の人々はどちらも正しく、同時に間違ってもいたが、人として皆同じであり、平和を望んでいることを確信したと語りました。フォーラムで谷崎テトラ氏が語ったように、世界の3.5%の人が目覚めれば世界は変わるということは希望であり、実現は可能であると語りました。
私たちに何ができるか
規模の大小に関わらず、それぞれの立場における行動や活動を推進することを告げた上で、国際平和デーを機に企業に働きかけることなどの具体的な提案もありました。
そして、活動を共有してほしい、全力で応援すると付け加えつつ、SNSなどで発信し、互いに「いいね」し合うことを推奨するなど、行動への賛同を表明することがムーブメントの広がりに貢献していると、つながりと意思表明の大切さを強調しました。
参加者同士の交流
参加者は昼食で交流を深めた後、自分が大切に思う価値が他者の価値と出会うことで生まれる創発、また、多様で異なる価値観を持ちながら、つながりを深める可能性を探求するワークショップを行いました。
参加者たちは、人生をかけて平和活動を推進してきたジェレミー氏の貴重な助言に加え、他の活動家らとの交流で、新たな学びと気づき、共感を得た様子で、イベント終了後も楽しげな会話が途切れることなく続いていました。
自分の価値を押し付けず、他者の価値を受容することを楽しむマインドに溢れた場の中で、人と人が深いところでつながり、共創が生まれようとしていたのは美しく、感動した。自分と世界、自分と他者の関係性を捉え直した先にある自分の役割を見つけ、果たしていきたいと思えた。