【Goi Peace Pod】聞き方には4つのレベルがある

Goi Peace Pod 4種類の聞き方

私は長年、グループや組織と仕事をする中で、聞き方には、4つの基本的なタイプがあることを特定しました。

「ああ、そのことならもう知っているよ」
最初のタイプは、「ダウンロードする聞き方」といって、習慣的に行っている判断を再確認する聞き方です。
起こる出来事全てが、すでに自分の知っていることを確認している場合は、ダウンロードして聞いているのです。

「おお、あれを見てください!」
2つ目は、「オブジェクト・フォーカス・リスニング(事実に着目した聞き方)」。これは事実、あるいは新しいデータや未確認のデータに目を向けた聞き方です。
このタイプは、すでに自分が知っていることとは異なることに注意を払います。(「ダウンロード」のように)自分とは異なる考え方を否定するのではなく、耳を傾けます。客観重視、事実重視の聞き方は、科学の基本的な手法であり、自分の問いに対して、自然やデータが与えてくれる答えを丹念に観察します。

「そうだね。あなたの気持ち、よくわかるよ」
3つ目のタイプは、深いレベルの「共感に基づく聞き方」です。
私たちが真実の対話をしているときに、より注意を払うと、自分の聞き方のレベルに大きな変化が起こることに気づきます。
最初の2つのタイプの聞き方をしているうちは、私たちの聞き取りは、私たち自身の精神や認知の範囲内で行われます。しかし、共感を持って聞くとき、私たちの意識は、自分の領域から他者へ、相手が話している場へと移行します。このような聞き方に移行するには、私たちは相手と心を通わせ、共感力を高めることが必要です。そうなった時、初めて、自分のことを忘れ、相手の視点で世界を見ることができる大きな変換が起こります。このモードになると、相手が何を言おうとしているのか、言葉にする前に感じ取ることができます。そして、その人が何かを語るときに、ふさわしい言葉を選んでいるのか、それとも間違った言葉を選んでいるのかを認識することができます。その判断は、相手の言葉を分析する前に、相手が何を言いたいのかを直感的に理解することで初めて可能になります。共感的な聞き方は、人間関係における、ほかのスキルと同じように、育て、発達させることができます。それは、これまでとはまったく異なる知性、つまり心の知性を発揮するためのスキルなのです。

「自分の経験をうまく言葉で言い表すことができないが、私の存在全てがスローダウンした。今までになく静かで、より確かな存在として、より本質的な自分を感じている。自分よりも大きな何かとつながっているのだ」
これが4つ目のレベルの聞き方です。これは、現在の領域を超え、さらに深い創発の領域へとつながっていきます。私はこのレベルを「ジェネレイティブ・リスニング(生成的な聞き方)」と呼んでいます。つまりは、未来の新しい領域からの聞き方ということです。このレベルで聞くためには、私たちのオープンハートとオープンウィル、つまり出現しようとする最高の未来の可能性につながる能力が必要になります。このレベルでの私たちの作業は、古い自分に邪魔させないようにすることで、これまでとは異なる意識を顕在化させるためのスペースをつくる、クリアリングに焦点を当てます。私たちはもはや、外に何かを求めることはない。目の前にいる人に共感するわけでもない。私たちは全く別の状態になっています。言葉では容易に表現できないこの体験に最もしっくりくる言葉は、「霊的交流」や「恩寵」でしょう。

4つ目のレベルの聞き方は、他のレベルとは質も結果も異なることにお気づきでしょう。会話の終わりに、会話を始めたときと違う自分になっていることに気づいたら、あなたは第4のレベルで聞いていたという証しです。あなたは、繊細でありながらとても深い変化を経験したのです。あなたはより深い源につながったのです。自分が本当は何者なのか、なぜここにいるのかという感覚につながったのです。

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オットー・シャーマー著『Theory U: Learning from the Future as It Emerges』より抜粋・編集
マサチューセッツ工科大学(MIT)教授、プレゼンシング・インスティテュート創設者