【Goi Peace Pod】心地の悪い不確かさ

Goi Peace Pod  心地の悪い不確かさ

私たちは、自分が知らないことを認めるように教育されてはこなかった。私たちの多くは、自信に満ちた声で、それが真実であるかのように自分の意見を述べるように教えられてきた。戸惑うことで褒められたことはない。また、すぐに答えを返す代わりに、多くの質問をすることで褒められたこともない。私たちは長年、他者の話を、その意見に賛成か反対かを判断するために聞いてきた。自分とは違う考えを持つ人の話を、腰を据えて聞く時間も興味もないのだ。

自分の立場、信念、説明といった「確かなもの」を捨てることは、とても難しい。これらは私たちがどういう人間かを定義するのに役立つし、私たちの個人的なアイデンティティの中核をなすものだ。それでも、私たちがこの世界を変えられるのは、私たちが新しい方法で考え、協働できたときだけだと信じている。

そのために必要なのが好奇心だ。自分が信じていることを手放す必要はないが、他の人が信じていることに好奇心を持つことが必要だ。その人のものの見方が、私たちの生存に不可欠なものかもしれないと認める必要がある。他の人がどのように物事を解釈しているのかに興味を持つには、自分だけでは分からないことがあると認める必要がある。

最近、私は自分を驚かせるものに耳を傾けている。今、聞いた話の何に驚いたのか?これは、同意する意見に頷きながら人と同席することに慣れてしまっている私にとって、簡単なことではない。しかし、自分が何に驚き、何が気に障るかに気づくことで、目に見えない信念や思い込みや、自分のものの見方をよりはっきりと理解することができるようになる。

もし、あなたの言うことが私を驚かせるなら、私は何か他のことを真実だと思い込み、あなたの言うことが私を動揺させるなら、私はあなたと反対のことを信じているに違いない。あなたの立場に対するショックは、私自身の立場を露呈させる。「どうしてそんなことを信じる人がいるのだろう?」と、感じたならば、自分の信じていることが見えてくる。この瞬間は素晴らしい贈り物だ。自分の信念や思い込みを見ることができれば、それらがまだ大切かどうかを判断することができる。

私たちが違いに耳を傾けることをためらうのは、変わりたくないからだ。自分の生活に満足しているのに、疑問を投げかける人の話を聞いたら、物事を変えることに取り組まなければならなくなる。もし私たちが耳を貸さなければ、物事は現状のままでよく、エネルギーを費やす必要はない。しかし、ほとんどの人は、自分の人生や世の中に「こうあってほしい」と思うことがあるはずだ。そうであるならば、私たちはもっと耳を傾けなければならない。そして、不確実性という非常に居心地の悪い場所に進んでいかなければならないのだ。

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マーガレット・J・ウィートリー(Margaret J. Wheatley)
教育学博士。ハーバード大学で組織行動学と組織変革を学び博士号を取得。組織に希望と健全さを取り戻すことをテーマに執筆、教育、講演を行う。