統合医療の治療家であるシェイ・ビーダーは、2021年8月のラダーシップ・ポッドで、クジラとの強烈な出会いから得た教訓について語ってくれた。以下は、彼女の忘れられない一体感の体験の抜粋である。
これは、クジラの話です。私はアラスカにいたのですが、運がよければクジラに会える船旅に誘われたんです。私は、冒険を共にする20人ほどの小さなグループとボートに乗り込み、出発しました。とても美しく、私はただその景色を楽しんでいました。
そのとき、何かが私を圧倒し、神聖な感覚と深い存在感で、私は文字通り沈黙に引き込まれました。その瞬間、私は言葉を発することができず、立っていることもできませんでした。なぜなら私の全身が神聖なものに包まれたからです。何が起こっているのかよくわかりませんでしたが、私はただ何かに呼ばれていました。何が起こっているのか見極めようと、ツアーガイドの女性の方を見ると、彼女は涙を流していました。私たち2人は、一瞬で心が通じ合いました。
そのとき、ガイドの女性は大きな声でこう言いました。「なんてこと! 私たちはクジラに囲まれている。15年間この仕事をしていますが、こんな光景ことは見たことがありません。40頭ぐらいのクジラが私たちの周りにいます」
非常に多くのクジラがいることがわかりました。でも、私は彼らの姿をこの目で見ることにまったく関心がありませんでした。なぜなら、彼らを感じていたからです。彼らのコミュニケーションの流れの中に、偶然、入り込んでしまったような感覚でした。その瞬間、私はアンテナのような存在になり、それまで経験をしたことがないような、とんでもない量の情報を彼らから受け取ったんです。突然入り込んだ未知の世界で、圧倒的な情報をダウンロードしたような感覚でした。
その体験の中で伝えられたいくつかの重要な事柄は、人生について少し違った見方と理解を与えてくれるものなので、共有することがとても重要だと感じています。
第一は、彼らの存在感です。彼らの存在そのものが壮大で、神聖な領域で生きているということです。それは、まさに、美しい贈り物でした。それ自体が本当に驚くべきことだったのです。
もうひとつは、彼らの家族意識というか、群れの中でのつながり方です 。ちょうど、皆さんがこの「ラダーシップ・ポッド」で体験しているようにね。
彼らは群れの中で機能し、生活しています。この群れの中では自己意識を全員で共有している、という感覚があります。個と家族に対する理解と認識があり、同時に皆が一体であるという感覚を共有しているのです。
そして、私が残りの人生をかけて目指したいと思うほど、最も印象的だったのは、彼らがある種の完全性をもって愛していることでした。真実の愛のような。愛の力のようなものです。同時に、彼らは完全に自由な感覚を持っていました。つまり、私たち人間が得意とする、見返りを求めたりするような「条件付きの愛」では全くないのです。
「どうすれば、これほどまでに完全でありながら、相手がどんな瞬間でも自由に、自分の最高で最善の利益になるようなものを選択できるような自律性を持って、愛することができるのだろうか?
しかも、それは家族という感覚ともつながりながら。
その複雑さと感情的な知性は、並大抵のものではありません。クジラのことをもう少し詳しく知ると、クジラの脳と大脳新皮質は人間の6倍の大きさで、大脳辺縁系を包んでいるそうです。神経科学者の間では、彼らは非常に優れた感情的知能を持ち、その領域では、私たちよりもいろいろな意味ではるかに進んでいるといいます。私もそう感じました。この並外れた能力は、愛と慈しみを持ちながら、完全に自由で純粋なものであり、私の中に「どうしたらこのような生き方ができるようになるだろう?」という憧れを生みました。そして、子どもや家族を対象とした自分の仕事の質を高めるために、どうすればあの愛のエッセンスを取り入れることができるのだろうかと。
クジラの話を共有する上で、この写真は美しいイメージだと思うので、簡単に紹介します:

これはマッコウクジラです。彼らは、15分ほどの短い時間、このような姿で丸くなります。まるで脳がレム状態になったかのように見えるので、この状態は、睡眠か回復のプロセスが起きていると科学者の間では考えられています。
私自身の理解には明らかに限界がありますが、私の体感では、ある種の招集が行われているように思います。彼らが集い、変容した状態の中で、コミュニケーションや意識を共有するような、ある種の招集が行われているのです。私がこの話を共有したかった理由は、このラダーシップ・ポッドの本質を改めて思い起こさせる何かがあると感じたからです。このグループ、つまりあなた方全員が集まって、このような招集が行われ、一緒に資料を見ながら、一つの場を共有しています。そして、この写真のように、もっと深いレベルで、何らかの知性が一方から他方へと受け渡されているような気がするのです。そのような知性の形は捉えにくいもので、私たちは必ずしもそれを名付けたり、ラベル付けしたり、言語化したりすることはできませんが、私がクジラから学んだように、多くのものが、言葉を超えて存在しており、とにかく伝わっているのです。私は、この意識のレベルについてお話したかったのは、皆さんが一緒に作り上げている、この美しい体験の中で、そのようなことが起こっているのだとも思うからです。というのも、皆さんが一緒に作り上げているこの美しい体験には、共有された意識のレベルがあり、それはおそらく言語の域を超えたものですが、人から人へと伝わっているものなのです。