五井平和財団では、設立以来、平和創造の担い手としての青少年の育成に力を注いでまいりました。文部科学省より受託した「ユネスコ未来共創プラットフォーム for 2030 ~UNESCOnnect~ 事業」の一環で、ユネスコ日本ユース・フォーラム(2月)、ならびに、そのプレイベントとしてユネスコ日本ユース・セミナー(1月)を開催しました。これらのイベントは、世代や分野を問わず、「人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」というユネスコの理念に触れる機会を提供し、ユネスコ活動をより身近に、自分事として感じ、それぞれの活動の可能性を広げてもらうことを目的としています。
ユネスコ加盟75周年記念 ユネスコ日本ユース・フォーラム2025/26

2026年2月8日(日)、日本のユネスコ加盟75周年を記念し、「ユネスコ日本ユース・フォーラム2025/26 ~ユネスコの扉から つながる 広がる わたしと『セカイ』~」が、都内会場とオンラインのハイブリッド形式で開催されました。
雪が降り積もる中、ユネスコ活動の経験者をはじめSDGsや社会課題の解決に関心を持つ、全国の10代から30代を中心に幅広い世代が、会場で89名、オンラインで155名参加。ユネスコの理念や様々な活動への理解を深め、新しい仲間や価値観と出会うことで知見を広げ、次なるアクションへとつなげていくことを目指しました。
多様なユネスコ活動に触れられた一日

プログラムは、昨年10月にウズベキスタンのサマルカンドで開催された第14回ユネスコ・ユースフォーラムに日本代表として派遣された、次世代ユネスコ国内委員会(以下、委員会)委員の橋本武龍氏による参加報告から始まりました。
続いて、ユースやユネスコ活動関係団体が活動内容を紹介するポスターセッションが行われ、各ブースでは、活発な意見交換が行われました。
午後の冒頭は、企業経営を通じて地球規模の課題解決に取り組む株式会社ユーグレナ代表取締役社長の出雲充氏による基調講演が行われました。「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。」をテーマに、大学時代にバングラデシュで貧困と飢餓の現実に直面した経験を原点に、ソーシャルビジネスの起業や、微細藻類ミドリムシ(ユーグレナ)の食用屋外大量培養に世界で初めて成功するまでの軌跡などが語られました。
出雲氏の体験談に触れた参加者からは、成功するまで何度も繰り返すこと、また、希望を持ち自らの手で未来を創っていくことの大切さに気づき、勇気をもらったとの声が多く聞かれました。

続いて行われたパネルディスカッションでは、出雲氏のほか、株式会社食の会代表取締役の長内あや愛氏、委員会委員の苗代昇妥氏が登壇。同委員の吉田夏希氏の進行で、それぞれの「挑戦の原点と最初の一歩」と「活動がどのように『セカイ』へと広がり、ユネスコと関わっていったのか」を中心に議論が交わされました。
食に関するブログを10年間続けた経験が現在の仕事につながったという長内氏は、「好き」という軸を持ちやりたいことを続けていくことで可能性が広がることなどを語りました。
また、苗代氏は、自身がユネスコ活動に関わるようになった経験を例に、アンテナを立て、身近にあるチャンスに気づき、行動する大切さを語りました。
その後、ユネスコの活動分野である教育、科学、文化の各分科会に分かれ、委員会委員による活動報告やワークショップなどが行われました。
最後に、参加者一人一人が「会場を出た後に起こしたいアクション」を宣言しました。
参加者アンケートでは、95%の人が「学びや今後に生かせる事柄があった」と回答するなど、高い満足度と共にユネスコやユネスコ活動への理解の深まりが示されました。
ユネスコ日本ユース・フォーラムの模様がアーカイブ動画でご覧いただけます。
主催:文部科学省、日本ユネスコ国内委員会、公益財団法人 五井平和財団
企画:次世代ユネスコ国内委員会
後援:公益社団法人日本ユネスコ協会連盟、公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター、特定非営利活動法人日本ジオパークネットワーク、公益財団法人 日本自然保護協会
「科学でつなぐ ひと・社会・未来」ユネスコ日本ユース・セミナー

1月12日(祝・月)には、ユネスコ日本ユース・フォーラムのプレイベントとしてユネスコ日本ユース・セミナーが、都内会場とオンラインのハイブリッド形式で開催されました。全国の高校生や大学生を中心に53名の若者が参加し、ユネスコの三つの活動分野の一つである科学の力による社会課題の解決について考えました。
冒頭の講演とQ&A「科学コミュニケーションで社会の課題に取り組む」では、手作り科学館Exedra館長で、科学と社会をつなぐ科学コミュニケーターとして活躍する羽村太雅氏が登壇。
研究者や学生、社会人、地域住民などを巻き込みながら、科学に馴染みの薄い人たちが親しみやすい形で、社会課題の解決を考える機会を、研究と社会教育の両面から提供し、地域交流の活性化にも寄与している自身の取り組みを紹介しました。
さらに、獣害により人間社会との摩擦を生んでいる野生・動物をテーマとする活動紹介では、「捕まえた動物をどうするべきか」「駆除は本当に必要なのか」などと市民に問いかけ、動物の生態への学びを深めながら、「駆除せずにすむ未来」へ向けた課題解決を共に考える機会を提供していることが示されました。
続いて、委員会副委員長の谷垣徹氏が、ユネスコの理念やユースによるユネスコ活動の意義を、国内の具体的な活動例を挙げながら紹介しました。
また、奈良教育大学准教授の河野晋也氏が行ったワークショップ「私たちの生活とユネスコとSDGsの関係を考える」では、羽村氏のような研究によって得られる知見(学問知)と、現場で培われる知見(経験知)をつなぐ存在を「ナレッジ・ブローカー」と定義。その上で、「多様な活動の場を持ち、持続可能な社会づくりの主役であるユースも人と人をつなぐ役割がある。支援の対象や学び手、受益者にとどまらず、社会変革を共に生み出す『ナレッジ・ブローカー』として、ぜひ行動してほしい」と呼びかけました。
当財団では、引き続き、今年度も平和で持続可能な社会の担い手であるユースの育成に取り組んでまいります。
主催:文部科学省、日本ユネスコ国内委員会、公益財団法人 五井平和財団
企画:次世代ユネスコ国内委員会
協力:公益財団法人日本ユースリーダー協会