【開催報告】高校生・大学生対象イベント「ローカルSDGs キャンパス・ミーティング」 @福島・沖縄・岡山

ローカルSDGs

概要

令和4年3~4月、高校生と大学生を対象に、地域でのSDGs達成に向けた学びを深めることを目的に、「ローカルSDGsキャンパス・ミーティング」を、福島県(オンライン開催)、沖縄県沖縄市、岡山県倉敷市で、順次開催しました。

地域資源を活かして新たな価値を創造し、モノづくりで地域の活性化や持続可能な未来づくりに貢献している各地域のソーシャルイノベーターの方々から、循環経済に不可欠な生産や消費のあり方など、多くを学びました。

沖縄と岡山の各会場では、プログラム終了後、交流の時間が設けられ、参加者たちは講師や他の参加者、オブザーバーらと交流を深めました。

ローカルSDGs(地域循環共生圏)とは、各地域が足もとにある地域資源を最大限活用しながら自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し支え合うことにより、環境・経済・社会が統合的に循環し、地域の活力が最大限に発揮されることを目指す考え方であり、地域でのSDGsの実践を目指すものです。環境省ローカルSDGsサイト

主催 公益財団法人 五井平和財団
共催 SDGsネットワークおかやま(岡山会場)
後援 日本ユネスコ国内委員会、公益財団法人 ユネスコ・アジア文化センター、公益社団法人 日本ユネスコ協会連盟、ESD活動支援センター、福島県、岡山県、沖縄県、福島県教育委員会、岡山県教育委員会、沖縄県教育委員会、倉敷市、琉球大学、岡山ESD推進協議会
協力 地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)、NPO法人 場とつながりラボhome’s vi、株式会社起点、株式会社ITONAMI、プロジェクトマナティ、STARTUP LAB LAGOON

福島会場(オンライン)「オーガニックコットンで地域経済を循環させる」

講師:酒井悠太氏 株式会社起点 代表取締役/3月21日(祝・月)

ローカルSDGs

福島産オーガニックコットン

ローカルSDGs

オーガニックコットン畑

酒井悠太氏が、2011年の東日本大震災が人生の最大の転機となり、瓦礫の山を前に生きる意味を自問自答した結果、地元福島で多くの試行錯誤や苦労を重ねながら、全くの未経験から有機栽培のオーガニックコットンの生産に取り組むことになったきっかけや、起業して様々な人々と連携し、Tシャツや手ぬぐいなどの商品開発や販売を通じながら、福島の復興に取り組んできた自身のエピソードや、日本ではオーガニックコットンの認証制度がないので、海外の認証団体から認証を取れるよう、今チャレンジしていることなどを紹介しました。最後に、素直な感性を持ちながら、思い立ったらやってみることで、その経験が後の財産になる、と参加者たちに語りかけました。

参加者からは、「オーガニックコットンの生産・製造の工程から環境保全、地域資源の活かし方、経済を考えた製品づくりなど全て勉強になった」「風評被害で食材を食べてもらえないため、食べ物以外で何かできることはないかとオーガニックコットンを考えたという話はすごいと思った」などの感想の他、オンライン開催により、地域を越えて「違う学校の人と話し合いをする機会があって嬉しかった」などの声も聞かれました。

*新型コロナウイルス感染拡大の影響で、会場がオンライン開催に変更となったことに伴い、福島県内だけでなく、北は秋田県から南は沖縄県まで、全国各地より参加者が集まりました。

沖縄会場「サンゴに優しい日焼け止めで海を守る」

講師:金城由希乃氏 プロジェクトマナティ 代表/3月26日(土)

ローカルSDGs

プロジェクトマナティ代表でエシカル起業家の金城由希乃氏が、サンゴ礁の保護やビーチクリーンなどの活動について紹介しました。

「海の森」とも呼ばれるサンゴ礁は、小魚の住処としてだけでなく、二酸化炭素を大量に吸収し、自然の防波堤の機能も併せ持ちます。あるダイバーから、そのサンゴ礁が日焼け止めに含まれる成分で白化と呼ばれる死滅や衰退の原因の一つになっている点を指摘され、その事実に衝撃を受け、自ら「サンゴに優しい日焼け止め」を開発し、普及・啓発活動を行ってきました。

更に、活動を通じて、ビーチの漂着ゴミ問題とも出合い、その課題解決のため、地域の商店などと連携して、観光客と地域住民がコミュニケーションを図りながらビーチを清掃する優しさの連鎖の仕組みを、プロジェクトマナティへと成長させました。

最後に、金城氏は「未来は若い人のもの。自分たちが創りたい未来を創造していけば、その未来がやってくる」と参加者たちに語りかけました。

参加者からは、「地域や人のつながりを意識したマナティ活動はとても良い」「日常生活で環境に悪影響を及ぼす行為をしていないか見直す必要があると思った」「自分も金城さんのように、失敗を恐れず少しずつ行動していきたい」「サンゴが白化現象であると知ったので周りに伝えていきたい」などの感想が聞かれました。

岡山会場「アップサイクルデニムで人と人をつなぐ」

講師:島田舜介氏 株式会社ITONAMI 代表取締役/4月9日(土)

ローカルSDGs

島田舜介氏が、デニム産地として有名な倉敷市児島におけるデニム業界の課題を改善すべく「人・モノ・人の間を育むデニム」と題して、自身のデニムブランドを立ち上げたきっかけや、キャンピングカーで全国を行脚しながら人々に作り手の想いを伝えてきたエピソード、「泊まれるデニム屋」をキャッチコピーに掲げたホステルのオープンなど、アパレルブランドの枠を超えた、地域産業の持続可能な発展や新たな時代の価値創造への取組みについて紹介しました。

「愛着を持ってモノを大事に使う意識を育みたい」という想いを大切にしながら、全国のお客さんに種からコットンづくりに係わってもらい、実ったコットンも使った製品を製造する他、不要になったデニムの回収や再生に取り組んできた島田氏の講演に、皆、聞き入りました。

最後に「自分のやりたいことを信じて進むことで広がりが生まれてくる。関心を持ったことには、どんどん挑戦してほしい。」と参加者たちにエールを送りました。

参加者からは、「人の想いとつながり、その成果を社会に還元している生き方や想いに触れることができて有意義な時間だった」「活動の根底に『作り手の思いやどうやって作られているかを知って欲しい、ものを大事にして欲しい』というマインドがあることを知り感銘を受けた」「島田さんの願いはSDGsの達成に必要な考えだ」などの感想が聞かれました。

SDGsナビゲーターによるトーク

講師:河野晋也氏 大分大学教職大学院 准教授(3会場共通)

ローカルSDGs

各会場講師のトークを受け、河野晋也准教授が、「身近な地域で考えるSDGs」というテーマで、大量生産・大量廃棄するファストファッションや、飲み物の容器の素材の選択などの題材を取り上げ、普段立ち止まって考えることの少ない、私たちの判断基準(価値観)と地球規模の課題とのつながりについて解説しました。

参加者からは「身近な話題からSDGsの話題についてつなげていたのが分かりやすかった」「一つ一つの小さな選択が未来へとつながっていることを知り、自分の生活スタイルを見つめ直すきっかけとなった」などの感想が聞かれました。

参加者の感想(抜粋)

  • 社会がより良くなるために、一人一人の選択が大切だと学んだ。情報を発信して、どんな人とでも協力することが未来の社会を切り開く第一歩になることを胸に刻もうと思った。
  • 「何かアクションを起こしたい!」と思っている人たちを全力で応援し、サポートしてくれる存在や、SDGsに興味を持ち、様々な経験を積み重ねたいと思っている同世代の人たちが他にもいることを確認することができ、とても大切な時間となった。
  • 全く異なる背景を持ち、異なる意見を共有することで新たな考えに気づける時間だった。まさに「多様性」を実感できるひと時だった。

キャンパス・ミーティングの講師陣(敬称略)

酒井 悠太

酒井 悠太(さかい ゆうた)

株式会社起点 代表取締役

1983年福島県いわき市出身。大学を卒業後、いわき市内の製造工場に勤務。東日本大震災を契機に、いわきおてんとSUN企業組合に入社し、被災地復興事業「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」において商品ブランディングに従事。2019年に株式会社起点を設立。自社で綿の栽培から商品開発までを一貫して行い、地域経済圏を循環させる福島綿の在り方を模索している。


金城 由希乃

金城 由希乃(きんじょう ゆきの)

プロジェクトマナティ 代表

2017年「サンゴに優しい日焼け止め」の企画販売を開始。講演活動や、イベント登壇を通して、海を守る事が自分ごとになったきっかけや、アクションの大事さなどを幅広く伝えている。2020年、いつでも気軽にビーチクリーンができ、地域の人と繋がるプロジェクトマナティを始動。協力拠点が80箇所に広がり、エシカルな輪を広げている。


島田 舜介

島田 舜介(しまだ しゅんすけ)

株式会社ITONAMI 代表取締役

デニムブランド「ITONAMI」と瀬戸内海が一望できる宿泊施設「DENIM HOSTEL float」を運営。綿を育てて服をつくる「服のたね」や不要なデニムを回収して粉砕、再び糸に戻しデニムをつくる「FUKKOKU」など、お客さんと一緒にものづくりの取り組みを行う。

SDGsナビゲーター

河野 晋也

河野 晋也(こうの しんや)

大分大学 教育学研究科 教職開発専攻(教職大学院)准教授

奈良県出身。小学校教諭在職中は、社会科や総合的な学習の時間を中心に、地域の課題やSDGs、歴史文化遺産を題材とした授業実践に取り組む。2020年からは大分大学教育学研究科に移り、小学校教諭の経験を活かして教員養成に取り組む一方、SDGsに関する講演や、学習者の価値観の変容を促すESDについて研究を行っている。

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「ローカルSDGs ユース・ダイアログ2022」&「キャンパス・ミーティング2022」開催報告PDF

その他開催報告

「ローカルSDGs ユース・ダイアログ」@岡山・滋賀2021 開催報告
「ローカルSDGs ユース・ダイアログ」@長野・北海道2022 開催報告