ユネスコ本部にてESDユース・コンファレンスを開催

514日から16日までの3日間、ユネスコESDユース・コンファレンス「若者が地球を救う」がパリのユネスコ本部において開催されました。

五井平和財団は、2006年にユネスコ(国際連合教育科学文化機関)と公式関係を結んで以来、特に青少年教育の分野で協力してきました。現在は、「持続可能な開発のための教育(ESD) に関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)」を推進するため、ユネスコが国際機関、各国政府、NGOなど世界の約90の組織を招集して立ち上げたパートナー・ネットワークに参画し、若者の動員とリーダーシップ育成において協力を続けています。

今回のコンファレンスは、昨年11月にタイ・バンコクで当財団がユネスコと共催したESDに関するリーダーシップ育成ワークショップに続くもので、五井平和財団は、実行委員会のメンバーとして会議の企画運営に携わりました。

60カ国から集った70名は、タイのほかにヨーロッパ、アフリカ、中東などの各地域でも実施されたリーダーシップ育成ワークショップの参加者300名から選ばれた、特に活発な活動をしている若者たちです。そして、会議のファシリテーターには、当財団職員を含む実行委員のほか、2014年にユネスコおよび日本政府と当財団が岡山市で共催したESDユース・コンファレンスの参加者で、世界で活躍している6名が招聘され、後輩の若者たちを支援しました。

持続可能な社会を担う若者への期待

開会にあたり、ユネスコの代表は、岡山ユース・コンファレンスの成功体験とその参加者の継続的なESDへの貢献に触れ、今回集まった若者への期待を述べました。また、本会議の三つの目的(①ESDユースリーダーのグローバルなプラットフォームを形成し、若者同士の協働とネットワークの拡大を加速させる、②若者の発信力を高め、ESDの認知を高める、③ESDの未来に関する政策方針の草案に対して、若者の提言を集約する)を共有しました。

続いて、各地域のユース代表が、先のリーダーシップ育成ワークショップで得た様々な成果を報告。報告を通じて、同ワークショップに参加した若者300名が、そこで得た学びを生かし、自ら各地で企画実施したワークショップに動員した若者の総数は、11000人にも及ぶことも確認されました。

午後は、「資金調達」や「モニタリング評価」など能力開発のための四つの分科会が行われたほか、具体的な共同プロジェクトを生み出すことを目的にグループディスカッションが行われました。

二日目は、第一線のジャーナリストによるワークショップが行われ、映像や印刷媒体、SNSを通して、より効果的にESD活動を発信するスキルを学び、グループで映像などの作品製作に取り組みました。

さらに、教育、環境、食、文化、芸術など様々な分野で持続可能な社会を目指す活動を行っているフランスの団体から講師を迎え、それぞれの現場での実践について学びました。

グローバルなネットワークに向けて

最後のセッションでは、本コンファレンスの参加者同士、さらにはこれまでの地域ワークショップの全ての参加者が今後もつながりを保ち、ネットワークとして機能していくために、プラットフォームづくりの具体策が話し合われました。

最終日は、ESDの未来を展望し、若者にできることは何か、また若者の活動をユネスコはどのように支援できるか、意見交換が行われました。支援の要望の一つとしては、若者と各国のユネスコ国内委員会をつないでほしい等の声が聞かれました。

閉会にあたって、ユネスコESD課のアレクサンダー・ライヒト課長は、「ユネスコは今後もESDを力強く推進していくし、その中心的な役割を若者が担っていくことは確実です」と述べました。今回生まれた数々のアイデアやアクションを、どのように次の段階に進めていくかは、若者たち自身の決意と行動にかかっています。

会議終了後は、ユネスコ本部の広場で国旗カードを掲げてフラッグセレモニーを行い、国境を越えて生まれたつながりを皆で祝いました。

アイスブレイキングのゲームで盛り上がる参加者たち ©Yoh Xiang

共同プロジェクト案を順番にプレゼン ©Yoh Xiang

©Jhon/Viviane

©UNESCO-Julie Saito