【開催報告】第3回ESD日本ユース・コンファレンス、ESD日本ユース・プラットフォーム会合

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ユース世代のプラットフォームの発展を目指して(全体概要)

「ESD日本ユース・コンファレンス」は、国内各地でESDに取り組んでいる、多様な立場の若手リーダーたちが出会い、つながり学び合い、相互理解を深めながら教育の新たな潮流を創り出していく場です。日本/ユネスコパートナーシップ事業として、文部科学省、日本ユネスコ国内委員会、公益財団法人五井平和財団が開催しています。

2014年、「国連持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議」の一環として、岡山市で開催された「ユネスコESDユース・コンファレンス」や、過去に東京で開催された「ESDユース・コンファレンス」(第1回第2回)を通して、ESDを実践する若者の輪が広がっています。3回目となる今回は、2016年10月22日(土)・23日(日)の2日間にわたり、地域に根ざしたESDを市全体で推進しており、第2回「ユネスコ/日本ESD賞」を日本で初めて受賞した岡山市で開催しました。

本コンファレンスは異なる分野や立場で、教育・啓発活動に携わり、国内各地でESDを実践する18~35歳の45人が参加し、各自が知識や経験を持ち寄り、様々な事例に触れながら学び合い、連携・協力できるユース世代のプラットフォームの発展を目指しました。

そして、「ESD日本ユース・プラットフォーム会合」は、2017年1月28日(土)に、東京で開催されました。

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第3回ESD日本ユース・コンファレンス(2016年10月22・23日/岡山)

1日目 「出会う」「つながる」

はじめに、ユネスコ国内委員会委員でもあり、五井平和財団理事長の西園寺裕夫から、岡山市で開催する意義と共に、ユネスコ憲章の前文を引用しつつ、平和をつくるためには、私たちの「知識、知恵、倫理観」が大切であること、そして、国内だけでなく、世界のユースともつながるプラットフォームをつくって欲しいとの挨拶がありました。

続けて開催地である岡山市市民協働局長の奥野淳子氏からは、歓迎の意と共に、様々な分野における団体・組織が緊密に連携し、岡山市全体でESDを推進している「ホール・シティ・アプローチ」の取り組みなどが語られました。

また、文部科学省国際統括官付ユネスコ振興推進係長の岡本彩氏は、ESDを「持続可能な社会の担い手を育む教育」とわかりやすく表現しながら、ESDの基本概念や、日本政府、ユネスコ、各自治体、民間団体、教育現場に至る各方面での取り組みを語りました。そして、ユースのネットワーク構築の重要性を、ESDに関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)や、国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)の教育分野の目標とも関連づけながら語り、最後は参加者へESDに取り組む上で大切にして欲しい8つのポイント(①ビジョン ②継続性 ③バランス ④エンパワーメント ⑤刷新性 ⑥コラボレーション=協働 ⑦変容 ⑧汎用性)を挙げ、「ここで得られたものを持ち帰り、多くの人に紹介して欲しい」と結びました。

その後、2014年のユネスコESDユース・コンファレンス参加者であり、2015年に第1回「ユネスコ/日本ESD賞」を受賞したドイツ人のフェリックス・スピラさんと、グアテマラで活動するコリーナ・グレースさんから、参加者に向けた激励のビデオメッセージが上映されました。そして、第2回ESD日本ユース・コンファレンスに参加した石川郁香さんが、体験談やその場で生まれたつながりの価値を語り、「第1回・第2回のコンファレンス参加者ともつながり、新しい可能性を見出して、さらに広がっていきましょう」と呼びかけました。

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この後、参加者たちはグループに分かれ、互いを知り、つながるためのワークへと移りました。

まずは、各自の自分史やESDに携わるきっかけを共有することからスタートし、続く活動紹介では、成功事例や抱えている課題、自分が相手の活動に貢献できることや「より良い未来をつくるためにユースとして何ができるか?」というテーマでビジョンを共有をしました。分野や立場は違っても、ESDを実践する者同士、共感できる点も多いことから、参加者は、互いの話に真摯に耳を傾け、会場は活気と笑顔に溢れていきました。

また、ネットワーキング夕食会では、事前に実施したオンライン・ディスカッションで浮かび上がってきたESDにおける課題(①地域と教育をいかに結びつけるか? ②ESDにつながるきっかけをどのように作るか? ③子どもやユースをいかに育成するか?)について意見交換をしたり、参加者有志6人が以下のミニワークショップや座談会を主催するなど、お互いの事例から学び合う時間が設けられました。

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ミニワークショップ・座談会
  • 地域を舞台にした教材でESDをやってみよう
  • 教科学習にESDの視点を取り入れる
  • VOICES AGAINST VIOLENCE~みんなでつくる差別と暴力のない世界~
  • 学校内でESDを広げるための座談会
  • 地域活性化のアプローチ
  • 子どものESD基礎力をどう育むか?

2日目 「つくりだす」

国内でESDを実践する若者同士がつながり、共に学び合い、具体的なコラボレーションを様々な規模や形で行うことで、参加者を中心としたユース・プラットフォームが発展していくことが、コンファレンスの1つの目的であり、国内外からも大きな期待が寄せられています。

このような目的に向けて、まず、「私たちユースでどんなコラボレーションができるのか」をテーマに、環境、国際理解、平和、防災、農業・食など、様々な分野において、学生や教員、NPO・NGO職員、行政職員などの多様な立場で活動している参加者たちが、グループ・ディスカッションを重ねました。例えば、異業種との協働・連携についてディスカッションをしたグループからは、「NGOなどの団体と連携しネットワークをつくる」や、プログラムや教材づくりについて話し合ったグループからは、「子どもや専門家を教材づくりに巻き込める仕組みをつくったらどうか」など、具体的なアイデアや提案が出され、その後、テーマの実現に向けて協力し合う以下の6つのコラボレーションチームが誕生しました。

テーマの実現に向けて協力し合う、6つのコラボレーションチーム
  1. 地域を活用したESDプログラムづくり
  2. ESDのユース・ネットワークの拡大と活性化
  3. ESD勉強会・イベントの開催・情報発信
  4. 相互訪問を通じたESD実践の場づくり
  5. 学校でのESD拡散のための事例紹介・情報共有
  6. 学校で使えるESDの教材づくり・実践の共有

そして、各チームから具体的なコラボレーションプランが発表され、その後の質疑応答で出た意見なども取り入れながら、アイデアを更に練り上げていきました。さらに、チーム内のコラボレーションだけではなく、チーム間での新たなコラボレーション案も生まれました。

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コンファレンスの締めくくりとして、参加者全員が大きな円になり、「今後どのようにESDや社会に関わっていこうと思うか」一人ずつ表明しました。

「世界も注目するこのユース・プラットフォームを大切にして、未来へバトンをつなげていきたい」、「面白い人、場所が身近にあるので、その面白さに着目し、行動を起こしたい」、「コンファレンスで出てきた案を指導案にして、自分の学校で実践する」、「熱意を持ってESDの活動をし、次世代を育成する」など、熱い思いが伝わる言葉の数々を聞くことができました。

閉会後、参加者たちは、岡山ESD推進協議会主催の交流会に参加し、コンファレンスにオブザーバーとして参加した岡山のESD実践者たちと活発な意見交換や交流を行いました。

参加者たちがこのコンファレンスで感じたつながりの価値、学びや気づきなどは、各自のフェイスブック、ツイッター等を通じて、1万を超える人々へ発信されました。また、参加者アンケートにも、「同じ志を持つ仲間から共感してもらえた経験は、現場でも生かせると思います」、「ESD実践者が、ESDの普及のために、新たなアクションを考えるという目的が明確で、濃厚な2日間を過ごせました」などの、感想がありました。

コンファレンス後、オンライン上で活発な情報発信が行われたり、参加者がお互いの学校や職場、地域などを訪問するなど、コラボレーションの活動報告も寄せられています。

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ESD日本ユース・コンファレンス参加者の声

大学院生
多様な分野でESDを行っている実践者の方に出会えたことはとても有意義な経験だった。いつもは研究という視点からESDを見ていたので、これまでになかった視点でESDを見ることができるようになった。
大学生
教員の方など普段話すことのない立場の方と話すことができる良い機会だった。
また、普段東北で活動しているので全国の人と知り合えたことは(特に関西、愛知、奈良、岡山)、このコンファレンスに参加しないとできなかったことだと思う。
小学校教員
ESDについて新しい見方ができたとともに、ESDをより充実させていこうという意欲につながりました。今後、子どもたちに今回学んだことを活かして、還元していきたいと思います。
中学校教員
同じ志をもった、幅広い年代の方々と話ができたことがとても刺激になりました。一人で実践に取り組み、一人でESDを背負っていた不安が和らぎ、頑張っていこうという気持ちを抱くことができました。とても満足のいく経験をさせていただきました。
NPO・NGO職員
様々な立場の人が一堂に会し、お互いの本音をぶつけあう機会は本当に貴重だった。
大学生
ESDを実践するにあたり大切なことは‘つながり’を築き一人ではなく誰かと協力することだとこの会議に参加して改めて感じました。一人では諦めそうなことでも、この心強いメンバーの方々と一緒なら持続的に活動ができると思う。
小学校教員
ネットワーキング夕食会で、ワークショップの主催にチャレンジしたことで、現場でもESDの勉強会をつくっていく意欲が高まりました。
一般企業社員
学校と企業、NGO連携でうまく共同企画ができればと考えています。
高校教員
官民・地域の連携は必須ですので、学外の方々と作ったつながりを通して、何か三者で新しい取り組みを作り上げる事が出来ればと思います。
団体職員
出会いから作り出すところまで段階を追ったプログラムだったので、よりESDを深めていくことができ、個人的にもESDを振り返り、発展させていくことができました。

ESD日本ユース・プラットフォーム会合(2017年1月28日/東京)

2017年1月28日、ESDユースの輪をさらに深め、更なるプラットフォームの発展につなげる目的で、第1回~第3回のESD日本ユース・コンファレンス参加者やその周りの仲間やESD実践者が約20名集まり、ESD日本ユース・プラットフォーム会合が開催されました。

冒頭、国際統括官付ユネスコ振興推進係長の岡本彩氏より、ユースは専門分野もさまざまな「マルチステークホルダーの原石」であり、大学生ならば2~3年も経てば社会人になるが、ESDを通して永くつながっていける、と国としての期待の言葉が語られました。

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第3回コンファレンスで生まれた各コラボレーションチームからは、約3ヵ月経過後のそれぞれの活動の進捗状況が報告されました。

たつまき(たのしく、つなぐ、まきこむ、きづきあう)チーム
お互いの得意分野を活かした7つのコラボレーションが企画され、メンバー同士のESDの現場への相互訪問等、幾つか実現していることが報告されました。
KSK(活性化)47チーム
既に動き出している3つのプロジェクトの進捗報告がありました。また、和歌山から参加した小学校教員メンバーからは、学校で子どもたちにとって「最高の調味料」となるのは、もっと学びたい、もっと知りたいとお腹が空いた状態なので、どうやって子どもたちのお腹を空かせるかが大事、という興味深い話もありました。
ESDユースつながり隊チーム
第2回コンファレンスで生まれたFacebookグループ「ESD日本ユース情報局」が、既に600人を超すオンライン・プラットフォームに成長しており、ここで参加者同士や周囲の仲間たちがつながり、活発に投稿をする等、ESDが広がっている状況が報告されました。また、支部会と称して、地域毎にESDユースたちが不定期で集まり、情報や意見を交換していることも報告されました。
Face to faceチーム
ESDの仲間同士がお互いに認め合い、自信が持てるようになるプラットフォームという場で、今後やっていきたいこととして、「ESDに関する勉強会やイベントを国内各地で開催したい」「もっと周りの大学生を巻き込みたい」「留学生を巻き込みたい」等の声が聞かれました。
PPAPPチーム(みんなで考えて作り、実践したプログラムを共有し検討するという意味)
国産材を使ったり、野菜、手芸、木工の「会社」を作って実際の利益を挙げる授業等、子どもたちの学びに火を付けたり、成功体験を積む一助となるような事例が紹介され、今後、更にESD教材の研究をしていきたい、というビジョンが語られました。

続いて、過去のユース・コンファレンス参加者OGの中尾有里さんや、OBのチア・ムー・カイ・デニスさん(シンガポール)が、国内外のESDの仲間たちとつながり、交流を深めてきた体験談を語りました。

午後のプログラム冒頭、ESD活動支援センター次長の柴尾智子氏より、同センターが任命した8名の「社会人ユースESDレポーター」の内、5名は過去のコンファレンス参加者であり、彼らは各地のESD活動の取材や紹介を積極的に行っていることが紹介されました。その後、早速、「Face to faceチーム」が企画したワークショップ「ぷらっとフォーム」を全員で体験し、自分自身を知り、発信しながら、お互いの関係性を更に深めました。

そして、ESDユースダイアログ「未来を考える」と題し、これから「ESD日本ユース・プラットフォーム」をどのように活性化していきたいか、また自分として何ができるかを全員で考えました。ダイアログ冒頭、文部科学省の岡本氏より、「国連が2030年までの達成目標として定めた持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けて、ESDユースとして何が出来るかを考えて欲しい」との期待の言葉が述べられ、参加者の認識の共有が図られました。

最後に、参加者全員で、この日の気づきや学び、ESDユースとしての今後の抱負等について語り合い、ユース世代のつながりの価値を再確認しながら、閉会となりました。当日、会場に来られなかった各地のOB、OGたちも、ユーストリームでのインターネット中継の映像を観ながら、会場の参加者たちと対話したり、コメントを投稿する等の形で、プラットフォーム会合に参加しました。

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